夏の夕暮れをさんぽして、隅田川の花火を横目に帰る

20180729

 

「不要な外出を避けましょう」の免罪符のもと、
ここのところの休日はクーラーの効いた部屋でだらだらと過ごしていた。

一般に、部屋にこもることが咎められないのは真冬くらいしかないので、思う存分ぐうたらさせてもらう。

しっかし冬は暗いが夏は明るい。
太陽が燦々と降り注ぐなか、ごろごろしているのはやっぱりなんだかすっきりしない。

いつもは、ラジオを聴きながら川沿いを10〜20kmほど、
時間にして2〜5時間ほど散歩するのだが、
炎天下37度越えはさすがにしんどいし、
自販機どころかなにもない河原で倒れてしまったらどうしようもない。

溶けたように過ごすのは大好きだが、さすがに飽きがくるし、部屋でラジオを聴くと寝てしまう。

ほんとうにここ数週間の週末は人間として退廃していた。
寝てYouTubeみて寝て漫画読んで寝て、みたいな。

そろそろ歩きたいなあ、と思っていたところに台風が過ぎ去って、気温が32度ほどまで下がったので、ようやく外に出たのだった。

といっても炎天下は少々怖いので、夕方5時から。
河川敷は無理だが住宅街なら日陰をずっと進んでゆける。

歩きだして、これはたしかに先週よりだいぶぬるくなっている。
この調子なら水分・塩分補給をして2、3時間はまったく問題なさそうだ。

日が落ちてくると、ぞろぞろと犬が増える。
アスファルトの温度は火傷しない程度には下がっただろうが、それでもまだじんわりと熱を帯びているようだ。
若そうな犬でも舌を出してよたよたと歩き、
信号待ちでは皆だらんと溶けていた。
汗をかけず毛皮をまとっているというのは相当まいるだろう。

信号待ちで溶けるのは犬だけではない。
歩いている最中は、わりと汗をかかないので余裕がある(と錯覚する)のだが、
立ち止まった瞬間にどっと汗が噴き出す。
いったいどういう仕組みなのだろう。

 

そうこうしていると5キロはだいぶ過ぎていた。
折り返さねば。しかし来た道戻るではつまらない。
もう直射日光はないので、住宅街から影のない河川敷の方へ出て、いつもの川沿いを歩くことにする。
ちょうど夕暮れだ。
グラデーションの空に凧が揚がっている。

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カメラを持ってこなかったことを後悔する。
でも重いんだよね。
20kmとか歩く時持ってるとほんとうに肩がやられる。

河川敷に来てからイヤホン越しでも虫の声が聞こえる。
実家にいた頃は自分の部屋にいるときまで、いやほど耳にしていたが、今ではわざわざ出歩かないと聞こえないのでなんだか嬉しい。
東京じゃ蝉の声も小さいのだ。物理的に少ないから。

 

わたしがいつも川沿いを散歩する理由に、ここらはカニがそこら中にいる、というのがある。汽水だからだろうか。
水際をみやると結構大きいのがわさわさといるし、道を歩いていても草陰からひょっこりと出てくるのでおもしろい。

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すれ違う人みんな夕日を見つめている。

それにしてもだんだんと人が多くなる。
いくら日が落ちて涼しくなったとしても、散歩にしては多すぎやしないか。
と、レジャーシートをひいてくつろぎだす人がでてくる。
さらに進むと、あたりはそういうグループでいっぱいになった。

浴衣の人を見かけてピンときた。
ああ、花火だ!

昨日の隅田川花火大会が台風で中止になっていたのは知っていたけど、翌日開催になることをすっかり忘れていたのだった。

時計を見ると、あと20分ほどではじまるらしい。
ちょっと見てから帰ろうか。
しばし立ち止まって、水を飲み、塩分補給タブレットをかじる。

ぼうっとしていたら7時前になる。
しかしまだかなり明るい。ほんとうに上がるのか?
そしてここから見えるのか?なんせここ荒川だし……

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ちゃんとあがった。かなり遠いけど。
明るい中の花火も悪くないものだなあ。

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しばらく花火を横目にだらだらと横目に歩いたり立ち止まって見入ったりして、空がだんだん暗くなっていくさまを楽しんでいると、ビールのスタンプのお誘いがくる。

これ以上ちんたらしていると、家に着くのがだいぶ遅くなってしまう。ああ、まだ家まで5km以上あるのだった。

河川敷の人混みをかき分けてざくざくと早足で帰る。徐々に人が減り、見知った景色になる。安堵感。長めの散歩には少しの不安が付きまとうのだ。夜目が効かないので暗いとなおさら、河川敷は街灯が少ないので特に。

そろそろ一人にも飽きた。早く家に帰って、ざっとシャワーで汗を流し、着替えて、家を出て、飲み会に合流して、冷えたビールを流し込んで、人々と話すのだ。


午後がとにかく長い1日だった。