新緑のGWに、田舎へ帰省した話
今年のGWは「最大9連休」。
私もみごと9連休をいただくことができたので、かなり田舎である地元へ帰省することにした。
有給取得がきまったのが直前だったので、詳細な予定を立てていたわけではないが、とてもとても楽しみだったのである。
というのも、地元を離れてから、夏と冬くらいしか帰れなかったので5月の地元なんて高校卒業以来なのだ。いったい何年ぶりだろう……
現在は東京で暮らしているが、田舎で生まれ育ったからか、いや、もともと家の中で遊ぶより外を駆け回っているのが好きで、雑草や川や生物が好きだったからか、「自然の中で遊びたい」という気持ちが強い。
もちろん都会には都会の生態がある。よく河川敷を散歩したり、ちょこちょこ野草を摘んだり、都市河川の干潟でマテ貝やホンビノスなどの潮干狩りをして楽しんだりしている。
しかし、澄んだ川や、白い砂浜と青い日本海、広がる水田やその用水路、あまり踏みしめられていない山辺などが恋しくなるものである。
毎年、夏冬の帰省を楽しみにはしていたのだが、同じ季節ばかりで飽きていたところ。今回は新緑の春だ。わくわくする。
新幹線や特急を乗り継いで、実家に帰るとまず、母の手料理が出迎えてくれた。
母の料理は、いわゆる「インスタ映え」はしないし、凝っているわけでもない、ごく平凡な日本の家庭料理なんだけど、わたしはこれがほんとうに好きだ。派手なものでないので少々食べ過ぎても身体に負担が少ない。私が太っているけど健康的だったのは、母のおかげかもしれない。
バイ貝でビールを飲んだあと、チャーハンにはまっているというきょうだいにシメを作ってもらう。
ほとんど写真には残っていないが、地物のカレイの干物やノロゲンゲ、ワラビ、タケノコなどなど、海と山の幸を堪能した。
どぅるどぅる(と私は勝手に呼んでいるけど、のろげんげ)が煮られている! pic.twitter.com/gqjbGPcqUb
— 二十日 (@20th_20ago) 2018年5月2日
伝わるだろうかこのどぅるどぅる感…! pic.twitter.com/4xu9CEIFTt
— 二十日 (@20th_20ago) 2018年5月2日
わらびとろろTKG pic.twitter.com/EaXxy91MiT
— 二十日 (@20th_20ago) 2018年4月30日
ワラビが新鮮ゆえにあまり熱を入れていないので、とろろにするにはカクカクしてるけど、これはこれでいい食感だった。
わらびはとろろにしなくても、ごくふつうに生卵にくぐらせて白米にバウンドさせて食べるだけでおいしい……春だいすき…… pic.twitter.com/BXC7cRHii4
— 二十日 (@20th_20ago) 2018年5月1日
やっぱりみんなで食卓を囲むというのはいいものだ。
次の晩は、地元の友達と居酒屋に。ごくふつうの光景のようだが、実は地元でお店で飲むのは初めてだ。なんせ田舎すぎて居酒屋が少なく、車に乗らないと辿り着けないという困難さ。今回お迎えを頼んでの参戦。
海のある地域だけあってお魚がおいしい。カワハギの造りとフグのから揚げが今回のベスト。季節のものの天ぷらやサラダも、見た目が鮮やかで、旬のものがきちんと調理されていておいしかった。
さて、食べてばかりいては仕方ない。
山辺や川沿い、田んぼの周囲なんかを見ようとママチャリでサイクリングに出かけた。
山が新緑で濃淡のまだらな緑になってとてもきれいだ。藤の季節なので、たまに淡紫が混ざる。こんなところにも、あんなところにも藤があったんだなあ。この季節にしか気づけない。
ちょうどゴールデンウィークといえば田植えの季節。休耕田、耕されている田んぼ、水が引いてある田んぼ、田植えの終わった田んぼ……そういえばめっきりみていなかった。稲の伸びていく様子で季節を感じていたんだった。
(電車がなく「列車」なので電線がない)
実はこのサイクリング、アミガサタケ探索も兼ねていた。こっちは気温が低かったらしいので、ひょっとすると老菌が見られるかもしれない…と。
結論として見つけられなかった。時期が遅かったのも当然だが、ここはポイントじゃないのかもしれないし、あるいはこの地域自体にないのかもしれない。
楽しかったのでよしとする。
野良山椒はあちこちでいた。
防空壕が物置になっている様子。防空壕らしき跡は田舎にはいっぱい残っている。
しかし地面がふかふかなのに驚いた。今まで東京付近でアミガサタケ探索はしていたのだけど、人が多いので地面はかたく踏みしめられているし、落ち葉も雑草も清掃されてしまっているところが多かったのだ。改めて体感した。もっとふかふかのポイントを見つけなければ…。
そういえば、サイクリングをしながら野草を見つつ思い出したことがある。この地域にはほとんどノビルが生息していないのだ。見かけるのは畑のあぜから逃げ出した野良ニラ、アサツキばかり。
単にわたしの見逃しでなく、ここにずっと住んでいる人々に聞いてみてもそうらしい。
だから、地元を出るまで私にとっては「憧れの野草」なのであった。最も有名な食べられる野草のうちの一つに憧れるというのは妙なのかも知れないけれど。
さて、今回の帰省でいちばん楽しみにしていたのが磯物採り。
日程的にこの日!というのが決まってしまっていたので、天気が悪くてもリトライできない。
日本海は、太平洋側と違って干潮と満潮の差が20cmほどしかない。某干潟、三番瀬が2m近くあるのと比べて大違いである。
(仮に2mあったとしても、遠浅とは真逆なのでたいしたところまで行けない)
潮が引かないということは、海遊びは波が命。しかし無情にもこの日は大荒れの予報…。
当日の朝、雨はほぼ降っていないが風が強い。
「とりあえず海を見にドライブに行って、もし風が落ち着いたら磯に行ってみよう。」ということになった。
ワンチャンというやつだ。
まず向かった先は浜辺。
海辺の雑草は肉厚でつやのあるものが多いなあ。
ちょっとしたテトラや岩場のほうを探索してみる。
案の定、波はなかなかの荒れだ。
本日の日本海、なかなかに荒れております…… pic.twitter.com/j5SVYhdH9R
— 二十日 (@20th_20ago) 2018年5月3日
でも予報ほど大げさな荒れ方ではない。空もだんだん晴れてきて、日が差すようになってきた。
よし、本命のポイントである磯に移動!
強い風に雲が流されて、めちゃめちゃ晴れた。これは嬉しい誤算だ。
釣りをしたり遊んでいる先客もいる。
さあ、貝をみつけて遊ぶぞ!
岩の起伏が大きいのでよじ登ったりとび越しして波打ち際まで降りるのが楽しい。
岩質がごつごつザラザラしているので滑りにくいのがありがたい。
進むたびに、大量のフナムシが一斉に逃げるようすに背筋がぞわぞわする。
普段はもう少し海側へいけるが、波が荒いのでほんの手前で貝探しをスタート。
いるいる!透明度は高いけれど波があるのでようく目を凝らさないと見つけられない。夢中になって下を向いているうちに大きな波がきて、靴はびしょぬれに。
最終的に、イシダタミガイ・スガイ・クマノコガイの3種が採れた。
カサガイ系もいたのだが小さめだったので今回はスルー。
まとめて塩茹でにして、晩のいいつまみとなった。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、帰りの日が来てしまう。
自分へのお土産として、庭で勝手に生えてきていた*1小さな山椒を苗として持ち帰った。
一応定着したようで一安心。ちゃんと育ってくれるといいな。
最後に、心残りとしては、コウノトリが見られなかったこと。豊岡で放鳥されたコウノトリは、この地域まで飛来してきて定着しているとのことで、地元ではよく目撃されている。こればかりは運、残念ながら今回は遭遇できなかった。ぜひカメラに納めたい。次回こそ。