20201109
オフィスビルの共有休憩スペースの窓から、あの公園を見下ろしながらお弁当を食べている。
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緊急事態宣言が起き、商業施設は休業し、それでも出なければならない仕事へ、いつもなら考えられないがら空きの電車にぽかんと乗って出勤した。
いつも忙しなく人が行き交うビル内はとても静かだった。
コンビニは時短営業していて、いつもは大行列の昼時でも、さほど混んでいなかった。
狭いビル内で食事をするよりはいいだろう、と言い訳をして、サンドイッチとからあげクンと炭酸飲料を持って公園へ出た。
外はまぶしく、海風ビル風によって、なんどもレジ袋が吹き飛びそうになった。
見頃を過ぎ、葉桜となった花びらが降るようできれいだった。
思えば今年の唯一の花見だった。
行き場をなくした子連れがたくさんおり、芝生ではしゃいだり、座って話し込んだり、めいめい楽しそうに過ごしていた。
ただぼうっと外を眺めるつもりだったが、気持ちがそわそわして落ち着かず、きょろきょろと散歩をしてから社に戻った。思いの外あわただしい昼休憩となった。
花壇は非常事態であることなどつゆ知らぬように鮮やかで、空からは日焼け止めを塗っていないのを後悔するくらいの日差しが降り注いでいた。
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久しぶりにあの公園でお昼を食べようか、よく晴れた寒空の日にでも。
サンドイッチとからあげクンと、あと今度は自販機で熱いほうじ茶なんかを買って、指先を温めたりなんかしようかな。