夕立派
窓がフラッシュのように瞬くたび、在宅ワークの集中が切れるのでカーテンを閉めようと思ったが、こんなに雷が鳴るのも久しぶりだし、なんだかわくわくするので、半分だけ開いておいた。
わりとすぐに夕立は収まってしまった。
ふと窓を見ると黄色っぽく光っているので窓を開けてベランダに出ると、夕立上がりの薄暗い雲混じりに光が差し込んで、濡れたアスファルトのみずたまりがぴかぴかと光っていた。
全体的にはだいぶ薄暗く鈍い色なので、一般的な「きれいさ、美しさ」とは違う感じだけど、いいなあ、好きだなあと思った。
久しぶりの夕立だし感想があるだろうとSNSをひらいてみると、ゲリラ豪雨のつぶやきが多く目についた。
そこまで大層な被害はなかったでしょう、と心の中で反論してしまった。
夕立という季節の風物詩を指す言葉が、ゲリラ豪雨という物騒で災害を想起させる仰々しいに言葉に取って変わっていくのは、なんともさみしいなあと思った。
ゲリラ豪雨と聞いて、雷雨が上がったあとの、土の香りや、大きな水たまりや、夕暮れの空が、はたして思い浮かぶだろうか。