不安定

普通二輪(MT)の教習に通い始めた。


学生の頃とりたかったけどシンプルに余裕がなく断念していたのだ。
さいきん周りの何人かが二輪の免許をとっているのを見て、そうだ、と思い出したように、えいやっと申し込みをしたのだった。

 

正直買うならコスパのよい125ccのスクーター(あの、そのへんの人がよく乗っている、格好よさはない、生活感むき出しのあれ)なので、小型限定AT免許でもよかったのだ。
3日とかでとれるプランもあるし。
でも料金もさして変わらないし、なにより小さな夢だったのだ。
せっかくなので、普通のを申し込んだ。

 

まあ、めちゃめちゃにつまづいた。
車(AT)の免許をとってから一度も乗らずにゴールド免許になっている身分、まず交通のルールを完全に忘れている。
それこそ確認と合図、交差点、徐行、進路変更、右折、左折などという基本から…。

 

クラッチとギアチェンジ、前輪ブレーキと後輪ブレーキという初心者あるあるの壁。
運動神経ゼロではちゃめちゃに鈍臭く、その上頭の回転が遅いということを、これ以上なく痛感する。

 

アクセルが怖くてギアチェンジに至らないという意味不明さ。
というか3速入れたらアクセルなくてもめっちゃ速度出るじゃん。
補足しておくが私のいうめっちゃ、は20kmすら出ていない。
でもバイクの体感だとめっちゃ速い気がするのだ。

 

最近、ビュンビュン走っているバイクを見かけるたびに、尊敬の念が湧いてくるくらいである。

 

教官の後ろに乗って実操作を学ぶというのがあるのだけれど、私があまりにも加速しないのを見かねた教官が、加速と減速の見本としてはちゃめちゃ速度を出して教習所内を2周したときは、教官の肩を鷲掴みして
「死ぬ死ぬ死ぬ!無理っす!まじで!!」
と半泣きで叫んでしまった。
ぐおんと加速したあと身体がふわっとしたり、特に車体を傾けてカーブを曲がるところ、あれはジェットコースターだ。
(のちに教官から、まずはドドンパ乗れるくらいジェットコースター克服したら、と笑われた…)


ディズニーの一回転するあれですら、ファストパスとっていざ乗ろう、と列に並んだところで震えだし、気分が悪くなってしまいに泣き出してしまい、同行者に平謝りして乗るのを諦めたことがあるくらいには絶叫系は苦手だ。

 

そういえば、車の免許取ったときを思い出す。
あの時もアクセルが怖くて怖くて、クリープ現象だけで路上教習出ようとして教官にはちゃめちゃに叱られたのだった。(そりゃ当然だ)

 

もちろん楽しいこともある。
はじめはローギア半クラッチ維持でつま足で(身長が低いわけではないのだが、短足なのでちゃんとは届かない)そろそろと歩きながら進むところから、ちゃんと足を乗っけて走れるようになった。
(これは普通すぐできる初歩の初歩、当たり前のところなのだが、そこからつまづいた。かんたんなはずの操作を間違えてエンストはするし見事にコケた。教習内容はなかなか進んでいない。)

 

ふだん全く触る機会もない重たい重たい鉄の塊を、操作すると、操作した通りに動いて、生身の身体が風を切ってグイグイと進んでいくのは、こわいけれど楽しい。

 

まるで幼稚園の頃の自転車の練習ようだ。
今までにない全く新しい感覚。


ただし自転車ならぽてんとコケても擦り傷で済むが、バイクだと骨折や最悪命に関わるので、気軽にコケられず緊張感が段違いだけれど…。

 

緊張。楽しいけどかなり気が重い。
憂鬱な気持ちで布団でダラダラしていたら二度寝してしまい、ハッと起きたら教習の時間、2時間連続キャンセルしてしまった。


申し訳なさ、キャンセル料、あとただでさえド田舎の教習所と違って予約が取りづらいのだ。
どんどん卒業が遅れてしまう。
間隔が空くと感覚を忘れてしまう。
慌てて教習所キャンセル待ちをして、その日は2時間乗ることができたが、結局のちの予約がだいぶずれ込んでしまった。

 

休日になると重い心体を起こして教習所に向かう。
重いバイクを起こして、またがり、エンジンをかける。
必死になって操作しているつもりが、何度も何度もミスして、同じことを教官に注意される。
毎回少しずつは成長しているが、本来のカリキュラムに追いついていない。

 

思えば学生のころは上手くいかないことなんてあまりなかったのに、
(特に塾や習い事をしていなかったし、受験もなあなあだったのだから当然ともいえるが)
社会人になってから、会社でもうだつが(それに比例して給料も)上がらず、
私生活も最低限の掃除以外はだらけきっており、料理もちゃんとしたのはほぼ休日のみでいつも雑な自炊、他の趣味も没頭するでもなく、ただYouTubeを見たりブログを読むだけのことが多くなった。
上手くいくことのほうがはるかに少なくなった。

 

教習から帰って、動画を見つつふて寝して、暗くなって起きて、だらだらと夕飯を食べた。

趣味ではじめたはずなのに最近は余計憂鬱だ。
決してやめたいとかそういうのではないし、後悔もしていないけれど。

 

気づいたらまた根暗の日記になってしまった。

明るくなりたい。

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後悔といえば、最近はどうも少し飲みすぎて次の日に後悔することが多い。
憂鬱をお酒にぶつけるなんてよくないけれど、飲んでいる時間はまさににエンジンがかかって、アクセル踏んでいる状態、テンションが明確に上がって、楽しいのだ。

 

かんぱーい。いい頃合いだ。