春が来たから、生しらす丼
卒業シーズンだ。
卒業生のみなさま、ご卒業おめでとうございます。
3月も下旬にさしかかる。
まだ朝夕の風は冷たいけれど、
確実に春がやってきている。
いちばん感じるのが、朝。
東京の冬は、毎朝毎朝、
バカみたいに澄みきった青空が広がっていて、
空気は身を切るように鋭く乾いている。
それがいつか、気づかないうちに
ぼんやり曇った日が増える。
今まで忘れていたように
たびたび雨が降る。
それでぼんやりと頭が痛くなったりして、
「ああ、そうだ。春だ。」と気付くのだ。
「花曇り」という言葉があるように、
春の始まりは、雪解け、芽生え、自然や人々が動き出す高揚感なんかとは裏腹に
どんより、じめじめと重苦しい。
桜のシーズンになると、
曇天の空を睨みあげて
「快晴だったらもっときれいなのに」
「前日雨が降っていなければ、あまり散らずにすんだのに」
「もっときれいに写真が撮れるのに」
なんて憎む人も多いんじゃないだろうか。
春がなんだかわくわくするのは、
この天気のことを差し引いても
有り余るなにかしらの喜びがあるからだろうか。
さて、季節に遅れをとらないように、
ここはひとつ、春の喜びを味わねばなるまい。
生しらすでございます。
しらすって、冬は禁漁であることが多いらしい。
まさに今は解禁直後。春の先取りだ。
お値段なんと税抜き299円。
江ノ島のおしゃれな店で食べたらいくらになるだろう…
野暮なことを考えた。
というか、数年間に江ノ島で食べたんだった。行列に並んで。
そういえばあの時正直に思ったのが
「おいしいけど、生臭みが強い」
ということ。
ここはひとつ、下処理はしっかりと施しましょう。
ネットで検索すると、氷水で洗うのだそう。
真水でいいということだったけれど、何回か水を変えて洗ったあと、最後に塩水処理を施してみた。蛇足かもしれないけど。
半量は、酒と醤油で沖漬け風に漬けてみることにして…
ご飯は薄めの酢飯にして、上に刻み海苔を。
刻みネギを散らして、
水気を切ったしらすを中央に盛って、できあがり。
生姜醤油をかけて、いただきます!
うん、生姜の風味がぴったりだ。
下処理のおかげで懸念した生臭みも全然気にならない。
さっぱり感と、生しらすの柔らかい食感とが相まって
するするするーっと完食してしまった。
はーおいしかった。ごちそうさま!
春っていいね。
(でもやっぱり雨はやだけど)
追記:翌日は、温玉のせ漬け丼にしておいしくいただきました。後半はスダチを絞ってサッパリと。
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冬の朝のアホみたいな晴天が
通勤の憂鬱な気分を
無理矢理吹き飛ばしてくるようで、
それがなんだか
うとうとと暖かな布団にくるまっていたのに
いきなりお母さんがやってきて
「起きなさい!」と布団を引っぺがされたみたいな気分で
どうもすこし苦手だった。
でも、アラームが鳴って
ざーっとカーテンをめくった瞬間、
当然のようにいつものように光が差し込むと思っていたのに
黒い雲と雨粒が目に飛び込んでくると
「ああ、やっぱり晴れていた方が好きだなあ」
なんて現金なことを思うのだ。
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なんかようわからん終わり方になった。
はやく花の甘い香りを嗅ぎたい。