アゴのフライ


アゴのフライときいて

正確な料理のイメージが思い浮かんだ人はきっと、日本海側の出身か魚好き。

顎ではなく、あごだしのほうのアゴ
あごだしでピンと来る人も多いんじゃないかな。
ここ数年でとても有名になった気がする。

アゴ」は日本海側〜九州で呼ばれる地方名で、「トビウオ」のこと。

夏から秋の魚。
うちの地元の海でもたくさん獲れる上に、安い魚なので
給食の献立にもよく「アゴのフライ」が登場していた。

給食以外にも食べる機会が多くあったけど、フライ以外で食した経験は少ない。

刺身でも食べられないことはない。
青魚だけど、匂いは控えめ。
脂がほとんど乗らず、強い旨味があるわけでもないので、
よく言えば、とてもさっぱりした夏らしい涼しげな印象がある。
悪く言えば、物足りない。
アジみたいに、ネギやら生姜やらでタタキにすると満足感があって良いと思う。

あぶらの旨味を補うためにも、フライが理にかなってるんだろう。あと単純にフライに合う身質でおいしい。

…おいしいんだけど、子どもの頃あまり好きじゃなかったんだよね。
あの大きなヒレを支えるためか、いかんせん小骨が多い。
思いきりガブッと噛みつく喜びを邪魔してくるのが、うーん。

小骨さえなければ味はいいのに…って魚結構あるよね。
まあおいしいから食べるんだけど。
(なんで上から目線なんだ!人間の都合よく生まれてくる魚があるか!ばかちんが!命頂戴してるんだからありがたくいただけ!)

 

今とび魚になって 空と海 バタフライ
(チャットモンチー)

春が来たから、生しらす丼

卒業シーズンだ。
卒業生のみなさま、ご卒業おめでとうございます。
 
3月も下旬にさしかかる。
まだ朝夕の風は冷たいけれど、
確実に春がやってきている。

いちばん感じるのが、朝。

東京の冬は、毎朝毎朝、
バカみたいに澄みきった青空が広がっていて、
空気は身を切るように鋭く乾いている。

それがいつか、気づかないうちに
ぼんやり曇った日が増える。
今まで忘れていたように
たびたび雨が降る。

それでぼんやりと頭が痛くなったりして、
「ああ、そうだ。春だ。」と気付くのだ。

「花曇り」という言葉があるように、
春の始まりは、雪解け、芽生え、自然や人々が動き出す高揚感なんかとは裏腹に
どんより、じめじめと重苦しい。

桜のシーズンになると、
曇天の空を睨みあげて
「快晴だったらもっときれいなのに」
「前日雨が降っていなければ、あまり散らずにすんだのに」
「もっときれいに写真が撮れるのに」
なんて憎む人も多いんじゃないだろうか。

春がなんだかわくわくするのは、
この天気のことを差し引いても
有り余るなにかしらの喜びがあるからだろうか。


さて、季節に遅れをとらないように、
ここはひとつ、春の喜びを味わねばなるまい。

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生しらすでございます。
しらすって、冬は禁漁であることが多いらしい。
まさに今は解禁直後。春の先取りだ。

お値段なんと税抜き299円。
江ノ島のおしゃれな店で食べたらいくらになるだろう…
野暮なことを考えた。

というか、数年間に江ノ島で食べたんだった。行列に並んで。

そういえばあの時正直に思ったのが
「おいしいけど、生臭みが強い」
ということ。

ここはひとつ、下処理はしっかりと施しましょう。
ネットで検索すると、氷水で洗うのだそう。
真水でいいということだったけれど、何回か水を変えて洗ったあと、最後に塩水処理を施してみた。蛇足かもしれないけど。

半量は、酒と醤油で沖漬け風に漬けてみることにして…

ご飯は薄めの酢飯にして、上に刻み海苔を。
刻みネギを散らして、
水気を切ったしらすを中央に盛って、できあがり。

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生姜醤油をかけて、いただきます!

うん、生姜の風味がぴったりだ。
下処理のおかげで懸念した生臭みも全然気にならない。
さっぱり感と、生しらすの柔らかい食感とが相まって
するするするーっと完食してしまった。

はーおいしかった。ごちそうさま!
春っていいね。
(でもやっぱり雨はやだけど)

 

追記:翌日は、温玉のせ漬け丼にしておいしくいただきました。後半はスダチを絞ってサッパリと。

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/*
冬の朝のアホみたいな晴天が
通勤の憂鬱な気分を
無理矢理吹き飛ばしてくるようで、

それがなんだか
うとうとと暖かな布団にくるまっていたのに
いきなりお母さんがやってきて
「起きなさい!」と布団を引っぺがされたみたいな気分で
どうもすこし苦手だった。

でも、アラームが鳴って
ざーっとカーテンをめくった瞬間、
当然のようにいつものように光が差し込むと思っていたのに
黒い雲と雨粒が目に飛び込んでくると
「ああ、やっぱり晴れていた方が好きだなあ」
なんて現金なことを思うのだ。
*/

なんかようわからん終わり方になった。
はやく花の甘い香りを嗅ぎたい。

 

桜色のウォークマン(2)ウォークマンがいないと電車にも乗れないんだ!

 

別段、ノーミュージックノーライフな人間ではないので、
休日には全く音楽を聴かないこともある。

 

むしろ調子がわるいと音楽を聴けなくなる。特に日本語の歌詞のある曲。
仕方なくインストばかりきく週もある。

(インスト好きだけど)

 

仕方なくでも平日は音楽を聴かねばならない所以、それはウォークマンの「ノイズキャンセル機能」にある。

こいつがあれば、
ガタンゴトン音も、話し声も、
(時には駅名アナウンスも)
全てうち消してくれる、スグレモノなのである!

音質に深いこだわりもないのにウォークマンに拘っているのも、ノイズキャンセル機能があるからだ。

ノイズキャンセル機能ゆえに、イヤホンは断然ウォークマン純正のもので、
過去に3回ほど買い換えている。※1
(4000円するのでそんなに音も悪くない)

※1:ちなみに、買い替えたうち一回は前回のブログに書いた「タクシーに轢かれた」エピソードの通り。

 

この素晴らしい文明の利器を、ついうっかり充電したまま部屋に置いてきてしまうとどうなるか。

ただでさえおぞましい空間である満員電車が、それはそれはおそろしい、

地獄に、

なってしまうのだ!

 

鼻をすするおっさん。痰が絡んだおっさんの喉のゴロゴロ音。ジイさんのウインドブレーカーの擦れ。中国人の車内通話する声。なんかブツブツひとりごと言ってるおねえさん。おにいさんのイヤホンから漏れるシャカシャカ音。飛び込み乗車したおばさんの息切れ。飛び込み乗車に苛立つ駅員さんの強めの口調のアナウンス。

 

ききたくない全ての音が、

生きている人間から発する、好ましくない音が、全て、筒抜けになって、嫌でも耳に飛び込んできて、
そして、ずっと耳を離れない。

 

地獄だ。生き地獄だ。

 

 

いつのまにか、
大好きなウォークマンの話をしていたら、また大嫌いな電車の話になってしまった。
本当に、どれだけ電車嫌いなんだろう。

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/*

居候邸最寄の無人駅から
ボックス車両のローカル線に乗って、
毎日電車通学していたあんとき、
いろいろなことがばっさばさと積もり重なって、柄にもなくかなり滅入っていた。毎晩毎晩、四畳半いっぱいいっぱいに、ちっとも可愛くない呻き声を上げたくなるような。

(居候のくせに部屋の広さとか言っちゃったけど、四畳半はとても気に入っていたし、ご飯も洗濯もしてもらって、一生で一番の恩があります。)

 

もう5年くらい経つのに 未だに、あの頃電車で聴いていた曲を
なかなか再生できないでいる。

 音楽と記憶とは強く結びついていて、
辛い時に聴いていた曲を苦手になった話はよく耳にするけれど

電車に乗りながら聴く音楽は、より鮮烈に感情が焼きつくような気がしてならない。
どちらも流れているからだろうか。

*/

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桜色のウォークマン(1)私のウォークマンはとっても丈夫。

高校の時に買ったウォークマン
私にしては珍しいピンク色。
桜に似た優しい色合いに、一目惚れしたような記憶がある。

 

お気に入りの曲をとびきりの高音質で入れて、小さめの音量で再生して、ひとつひとつの音をていねいに聴き取って楽しむのが好きだった。
(そのわりに、当時ハマっていたのはガールズロック系統である)

 

高校を卒業したあと、進学のために実家を遠く離れ、
大学一年の冬まではおじいちゃんおばあちゃんの家に居候させてもらっていた。

居候邸から大学までは、電車を乗り継いで1時間半。
その有り余る通学時間を、桜色のウォークマンと共に懸命に消費していた。

 

居候邸から最寄り駅までの道のりは
比較的近かったけれど、
寝坊・遅刻の常習犯の私は、毎日毎日猛ダッシュで
電車とどちらが先に駅に着くか競争していた。
絶対に負けられない戦いが、そこにはあった。
(しょっちゅう負けていたから常習犯なのだけれど)

なんせ、居候邸はど田舎だ。
最寄り駅は某監督の映画でちょっと名が知れた無人駅。
路線はまさに、ザ・ローカル線。
ほんの数両編成、それもボックス車両の多い。
朝の通勤時間帯と言えども1本遅れれば30分遅れる。昼ならゆうに1時間。

 

駅前に、タクシーの待合所があって、
毎日毎日全速力で走っていたものだから、運転手さんと顔なじみになった。乗り遅れた日には、おしゃべりをする仲になった。

 

ある日の昼下がり、絶対に負けられない戦いに見事にやぶれ、一時間待ちぼうけを食らった私に、運転手さんは
「もっと大学が近かったら、乗せてったげたのにねぇ」
なんて優しく声を掛けてくれた。


桜色のウォークマンを駅前の道に落としたのも、そんな風にいつものように、絶対に負けられない戦いをしている朝だった。
今日は勝ったぞと電車に乗って、はたと気づく。
相棒が、いないと!

「まあでもしょっちゅう忘れ物なんてしているし」
その日は少し手持ち無沙汰の往復3時間を過ごし、帰宅した。
帰宅して。


「家にもいないんだけど!!!」


思い返せ、思い返せ…!
今朝も、いつものように上着のポケットに入れた気がする。気がするだけだけど。
というか、状況からして、家から駅の間にある可能性がいちばんたかい。


部屋を飛び出して、駅までの道を血眼で探す。
無情にも、地面は前日の雨で水たまりだらけだ。見つかったとしても、壊れてしまっているかも知れない。


ああ、いつも無意識に共にしていたものが
不意になくなると、なんでこんなにも不安で、悲しくなるんだろう。
泣きそうになりながら、そして、とうとう駅に着いてしまった。

 

一縷の望みで振り返って待合所を見た、
その机に、桜色と、泥にまみれた白いイヤホンが見えた。

「運転手さん!それ、私のウォークマンです!」

運転手さんは、やっぱりそんな気がしていたよ、と手渡してくれた。
「イヤホンはもうダメみてぇだな。本体は大丈夫かい?」
「電源つきました!拾ってくれてありがとうございます!」

 

家に帰って、泥にまみれたウォークマンを拭う。ケースを外すと、見事に背面が歪んでいた。
とりあえず、スマホ用のイヤホンをさして、再生してみる。
曲が流れる。いつもと同じだ。
よかった。よかった…!

 

数ヶ月後、居候邸から大学寮へうつり、
ウォークマンと共にする時間はかなり減ったものの、
本体の歪みだけを残して
轢かれたことなんてなかったみたいに
やっぱりピンピンしていた。

 

そしてそのまま大学を卒業し、
また毎日電車にのる日々を過ごしている。桜色を携えて。

 

そして今日。
画面のベタつきが気になって、ケースを外した瞬間だった。

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ケースに引っかかったのか、背面の歪みがぱかっと開いてしまった。
それだけなら力で閉じて仕舞えばいいんだけど。だけど。

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音量ボタンが!取れちゃった…!
ついでにロックボタンもはずれかけている。

まさかここまで…?すくなくとも5年以上、長い時間を共にしたのに?

咄嗟にマチ針と、ピンセット(がなかったので毛抜き)を引っ張り出し、必死になって戻そうとする。
震える手。焦ってる場合じゃない!

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…戻った!相変わらずピンピンだ!

いや、本当に丈夫すぎじゃーい。
そう桜色にツッコミを入れながら、
心の底から、本当によかった。と思ったのでした。

おしまい。


/*

最後にすこし現金な話をすると、
このオンボロウォークマンを買い換えない理由は、
愛着だけじゃなくて、今現在、ウォークマンは好みのモデルが売ってないからだったりする。
なら、iPodでもなんでも良さそうなもんだけど。
ウォークマンじゃないとダメな理由は、次回のブログ更新で。

*/

干物女の休日ごはん 〜vol1.大人気ないお子様ランチ

「からあげが!!!20個くらい食べたい!!!」

YouTuberがからあげを頬張っているのにまんまとつられてしまい、今日はからあげを食べる、と心に決めた午後3時。

しかしどうしよう。
今日の晩ご飯は、オムライスに決定してしまっている。
お菓子作りで残った生クリーム、今日中には消費しなくっちゃ。

それに、チキンライスの仕込みも既にしてしまった。

じゃあ、おやつに食べればいいじゃない!そうだ!今しかないんだ!

と意気揚々ママチャリにまたがって……
あ゛ーそういえばパンクしてたんだった。

仕方なくハンドルを引きずって自転車屋へ。
どうやらただバルブが緩んで空気が漏れてただけみたい。

空気を入れた自転車はスイスイ進む。
そのままお惣菜屋へ直行!
…するはずが、るんるん気分のままお気に入りのサイクリングコースへ。

ようやくお惣菜屋に寄ってからあげ(とメンチカツ)をゲットし、帰宅した頃にはもう夕方。

 

(文脈がはちゃめちゃに長くなってしまったけど、ようやく本題です。)

 

こうなったらもうオムライスとからあげ(とメンチカツ)、いっぺんに食べるしかあるまい。
干物女に二言はない。

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買ってきたからあげ。そういえばこのお店のからあげって味付けが淡白なんだよねー。

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えいっ。やっちゃいました。甘辛ダレを絡める。間違いないよね。うん。

そんなこんなでできました!
今夜のディナー、名付けて

『大人気ないお子様ランチ
〜申し訳程度のベビーリーフ(見切り品・50円)を添えて〜』

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(色味とか配置とか写真としていろいろ終わっていますが、余計なものさえ写ってなければ許されるという意識がある。写メだし。)


名前のダサさもさることながら、このビジュアル。
小学生が、誕生日の日にお母さんに「何食べたい?」と言われてリクエストしたみたいなメニューだ。
あとなんかめっちゃ頭悪そう。いや、わるそうじゃなくて絶対あたまわるい。


ちなみに半分食べたところで胃もたれがきましたが、意地で食べきりました。
今めっちゃ眠いです。おやすみなさい。

嫌煙家ではない

偶然似たようなタイトルが2つ並んでしまった。全く説得力がない。

 

煙草吸う女の人は単純にかっこうよくみえるのに、

煙草吸う男の人はなぜか、
どんだけ性格や外見がよくても
どこか少し不恰好に映ってしまう。
私だけだろうか。わかる人いないかなあ。

(もしかしたら「タバコ吸ってる男の人好き」って言ってる女の人は、そういう不恰好さ、ある種の不器用さ、繊細というか華奢さが好ましいのかも知れないけれど)

喫煙者のイケメンと
非喫煙者のイケメン、
どっちがイケメンかって言われたら
やっぱり圧倒的に後者だ。

においとか不健康とかお金とかそういう
実害云々ではなくて、
単純に好感が持てる。

なんというか、
周囲に流されなくても
周囲に不利なく難なく合わせられる
コミュニケーション力だとか、
嫌なことが続いてもスポーツとかそういった健康的な手段で
器用にストレスを逃がせるような、
人生充実して楽しく生きていってるような

いわば「ザ・リア充感」
そういうものに憧れてるんだと思う。

 

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ただ、
溜息が形になるところは羨ましいなあ、と思う。
こう、ふぅーっと、胸に溜まった憂鬱が
煙と一緒に吐き出せるみたいで。

あと、火をつける前の煙草の匂いは好きかもしれない。